一昨年5月、ED治療薬・バイアグラにジェネリック薬品が登場した。
当時、正規品の値段は1錠1500円程度。
それが半額ほどで手に入るようになると話題になったものだが、あれから1年半余り。
いまやネット通販で誰にも知られず、簡単に手に入るような状況だ。
しかし、一方で偽造品が氾濫していて……。
「結論を先に言うと、ネットで購入するバイアグラのジェネリック薬品は“まったく安全性
は担保されていない”としか言いようがありません。
どんな成分が混じっているかさえ分からず、服用するのは、ある意味、命懸け。
レビトラもシアリスもまだジェネリックは発売されていないのにネット上ではなぜか売っ
ている!真っ赤な偽物ですよ。ネットで正規品を見つけるのは至難の業と言っていい
でしょう」
こう警鐘を鳴らすのは、昭和大学藤が丘病院の佐々木春明教授(泌尿器科)だ。
インターネットを開けば一目瞭然、ED治療薬の通販会社は数十社が看板を掲げている。
各社が“正規品”“ジェネリック薬”“海外産ED薬”などと銘打って販売している。
中には1錠200円を切る激安バイアグラ(ジェネリック薬)があったりして、興味本位で飛
びつく素人がいても不思議じゃない環境だ。
「実は7年前、私たちのグループは日本とタイで偽造薬の調査を行いました。
ネットでED薬を購入し、その成分を調べたのです。
結果、日本での偽造薬の割合は43.6%、タイは67.8%。とくにタイのいい加減さは
驚くばかり。
バイアグラ50ミリグラムなのに50ミリグラム入っていない商品、主成分のシルデナ
フィルがゼロのもののほか、主成分が通常の1.5倍入ったものも!
これを飲んだ場合、急激に血管が開くわけですから思わぬ副作用があって不思議じゃ
ない。レビトラにおいては、“陰茎の血管を開かせる成分がゼロ”のモノが多数。
シアリスは主成分が多過ぎのもの、少ないもの、入ってないものがごちゃ混ぜでした。
殺虫剤成分、覚醒剤の成分、全く未知の物質が混入したものまでありました」(佐々木教授)
●患者数1130万人以上
とくに海外で作られた薬剤はヒドイ。
「覚醒剤やインフルエンザ薬など高く売れる薬が同じ工場で作られていた可能性があった」
(佐々木教授)という。
いずれにしろ、安全な薬とは言い難い。
実際、シンガポールではED偽造薬による死亡事故(2008年)が起きたし、日本でも低
血糖で意識を失い病院に担ぎ込まれた男性のポケットからED偽造薬が発見された事
件(2011年)が報告されている。
「唯一、2002年に行われた大規模な全国調査では、中等度と高度のいわゆるED患者
数は1130万人でした。
あれから14年、予備群も含め患者数はより増えていると推測されます。
にもかかわらず、病院で治療を受けている人は11万人程度だった。
一方でネット通販のマーケットは急激に拡大中。幸いにも大きな事件は起きていませんが、
安易に手を出して誰かが不幸な事故に遭う可能性は十分あるのです。
若いころの硬さがない、ときどき中折れする、朝立ちしなくなった――これらがEDの予兆です。
思い当たるフシがある方は、動脈硬化が進行している疑いが強いので、病院で健康状態
をチェックするべきです」(佐々木教授)
ED治療薬は病院でもらうのが正解だ。
日刊ゲンダイ[2016年2月27日]
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/176149
バイアグラ正規品と偽造品(写真右2つ)
http://static.nikkan-gendai.com/img/article/000/176/149/db3109ab28c919a5e29767c4a51a06b520160226133250227.jpg
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